投稿者: admin
今回は、AI鑑定を用いて、クルマ鑑定に費やす工数を改善するプロジェクトを推進しているセバスチャン氏へインタビュー。
これまで、様々な研究開発に携わり実績を残してきた彼の研究開発に迫ってみたい。
AI鑑定システムの研究から出てくる課題と、それに対する彼の挑戦、そしてAI鑑定がもたらす未来を、インタビューの中から感じ取れると思う。
レッティグ セバスチャン ペーター Rettig Sebastian Peter
2015年入社。AIテクノロジー推進室 沖縄に所属。
自社内の課題解決にAIを使って効率化を目指しながら研究開発を行う。
アプリ開発、承認チェックAIシステムの構築、フロントエンド・バックエンド開発など、プロジェクトの内容よって担当を変えられる守備範囲の広さと、すべての開発を一人で行うマルチエンジニアとして従事している。
クルマの傷、凹みを自動で検知する「AI鑑定」の開発目的は?
目的としては、クルマ鑑定物件数の向上です。
現状はクルマ1台あたりの鑑定所要時間が約20~30分かかってしまうことと、鑑定者の不足が課題として上がっていました。
鑑定後のレポートもデータとして手動で入力しないといけないので時間と手間が発生していました。
そこで、機械学習を使ってクルマを自動鑑定し、鑑定後のデータもそのまま蓄積されていくシステムを作ることで、鑑定にかかるコストを削減できるのではないのか?
そういった思いから、AI鑑定システムをプロトタイプとして開発することに至りました。

クルマ業界で「AI鑑定」を導入しているところは多いのでしょうか?
AI鑑定というよりは「AI査定」になりますが、最近ニュースに出てきたのは保険会社向けのスマホアプリです。
事故があった時に、自分のスマホでクルマの障害を撮影して保険会社に送ります。障害レベルや修理コスト予算はAIで判断するそうです。事故障害は画像でわかりやすくて、判断しやすいと考えます。
一方で、「AI鑑定」だと、事故直後ではなく修理済みのクルマに対しておこなうことが多いです。
傷や凹みなどを検知して、修理のあったクルマなのか? そうでないクルマなのか? の判断をします。
難易度としては上記の保険会社がおこなう事故車分析より高いです。
鑑定対応サービスは現在プロトタイプな状態ですので、導入している企業はほとんど無いですね。
そのAI鑑定ですが、どういった人たちに利用してもらいますか?
「アジャスター」と呼ばれる鑑定者が、クルマを鑑定する時のツールとして利用してもらうことを想定しています。事故車などを鑑定するプロフェッショナルの方々ですね。
開発でフォーカスしているのは「外装部分」。
外装のキズや凹みを画像認識AIへ学習させます。 クルマの撮影画像を傷・凹みのセグメントに分析し、障害レベルを評価していくという流れをAI化することで、鑑定にかかる所要時間を削減させることが可能になります。

開発に使用した言語やツールなどは何になりますか?
開発については機械学習基盤から実開発まで、使う言語やツールは多岐に渡ります。
機械学習開発
→python, Pytorch, fastai, Tensorflow, 機械学習基盤(ML-Template, ML-Core)
API開発
→python, javascript, HTML, CSS
APIディプロイ
→docker
Androidプロトタイプ開発
→Java, C, Tensorflow-lite
ちなみに今回のプロジェクトで使っている機械学習基盤は私が作ったもので、社内にある単純作業などを自動化するための基盤として少し前にリリースしたものになります。
これに関してはbacklogへアップロードして他部署でも使ってもらっているんですよ。
会社で一緒に働く仲間たちにも、私が作ったツールボックスを使っていい環境になるように、社内スタンダードにできたらと考えています。
学習基盤は自作なんですね。既に横展開ができているとは驚きです!では、開発で直面した課題について聞かせてください。
まず、AI学習には大量の教師データが必要になります。その教師データを作り出す作業を「アノテーション(意味付け)」と言って、高い精度を追及するほど沢山のアノテーションが必要となります。
傷や凹みの形はどれも全く同じものはなく、小さい、大きい、長いなど様々です。そういった傷や凹みをマーキングするツールが足りなかったため、自分でアノテートツールを開発しました。
あと、私自身が鑑定者ではないので、アノテート後の判定結果のジャッジが難しく、専門家の確認が必要なこともありましたね。
また、今回のプロトタイプを簡単に作成できる基盤がないため、環境実装が必要でした。こちらは先ほど話した学習基盤(ML-Template, ML-Core)のことです。 学習基盤もそうですが、ツールがなければ自分で作ることはあります。
色々ありますが、チャレンジポイントとして捉え、ひとつずつ課題を潰していくことが研究開発には大事なことです。好きじゃないとできませんね(笑)

さて、気になるAI鑑定システムのリリース予定はいつ頃でしょうか?
リリース予定はまだ決めていないです。
と言うのも、クルマ鑑定物件数の向上という目的はあるものの、鑑定業務の効率化ができるか?の研究開発になりますので、まずはフィジビリでやってみて上手くいけばプロダクト化する。という感じですね。
あくまでも研究開発をするのが私のミッションですので。
ただ、鑑定者に便利なシステムになることは間違いないです。 このAI鑑定が上手くいけば、「ヒトが足りない、時間が無い」の両方が改善されるわけですから。
今後の展開について聞かせてください。
まだ研究開発中なので何とも言えないですが、今掲げているチャレンジ点を解決できれば、プロトタイプシステムを実装するつもりです。
その後、クライアントのテストフェーズを行い、将来的には鑑定サービスとして展開したいと考えています。 遠い未来には、誰でもスマホで鑑定できるようになるかも知れないですね。

あとがき
画像認識技術を駆使し、AI鑑定システムの開発を進めるセバスチャン氏。
単身、幾度となく繰り返すテストと実装の中には、数えきれないほどの課題に直面する。
それを「チャレンジポイント」と称し孤高に研究を重ねる姿に、エンジニアとしての気高さを感じた。
AI鑑定システムが彼の手からリリースされる日が来れば、クルマ業界が大きく変わるかも知れない。
インタビュアー:福田 聡樹(ふくだ さとき)
株式会社プロトソリューション Webマーケティング部所属。自社ホームページ編集長。ブログ/インタビュー/動画などのコンテンツを使って、プロトソリューションのサービスやタレント情報を発信しています。
好きなもの:爬虫類全般、本のにおい。
今回は、画像認識AIを用いて、地域・社会の安全を改善するプロジェクトを推進している平良氏、関内氏へインタビュー。
2019年にAI戦略推進室を立ち上げ、AI技術を駆使した社内業務の改善と新規事業立案を繰り返してきた彼らの活動に迫ります。
ナンバープレート検知の開発秘話から今後の展望までをご紹介!
平良 武敏 Taketoshi Taira
2012年入社。AI戦略推進室に所属。
既存業務のAI化・システム化の企画・提案、AIを活用した新規事業立案を担う。
画像認識AIの導入にて車両動画の完全自動化、自然言語処理AIの活用にてコンバート業務の自動化、画像認識AIナンバープレート検知システムを推進。
関内 孝行 Takayuki Sekiuchi
2006年入社。技術推進部門に所属。
情報セキュリティスペシャリスト資格を保有し、新技術や新規サービスの開発を行う。
画像認識系の機械学習(AI)を使ったシステムや、オンライン商談のシステム開発を担当。現在、画像認識AIナンバープレート検知システムを開発中。
「ナンバープレート検知」システムを作るきっかけとなったのは?
当社及び付近の施設で発生している不正駐車や迷惑行為(騒音等)といった、犯罪の抑制がきっかけになります。
通常の監視カメラの導入を検討しておりましたが、誰かが映像を見直さない限り検知することが出来ないという課題にぶつかりました。また、映像のコマが粗く、解析に時間がかかるという欠点もあったんです。
そんなとき、車両ナンバープレートを検知する製品が世の中にある事を知り、まずは既製品の導入を検討しました。ただ、当社の自社メディアサービスは、クルマに関する企業とのコネクションもありますし、高度な画像認識技術を有するエンジニアも属しています。独自で開発することで、既製品とは違う市場・販売経路での展開が可能ではないかと考えました。
また、宜野湾地域の大型商業施設やアミューズメント施設でも、不正駐車の課題を抱えているという声があり、我々の技術を使って地域へ貢献できるのではないか?ということから、自社での開発を進める運びとなったんです。

どういったケースで利用を考えていますか?
不正駐車や犯罪抑制が目的ですので、ショッピングセンターといった大型の駐車場を保有している施設であれば、どこでも活用することができます。あとは、小さなお子さまが通う保育園や学校などに設置することで、不審者の事前察知も可能になるかと思います。
まだフィジビリの段階ですが「まずはやってみよう!」という感じですね。
今回使用した技術(開発言語やツールなど)は何ですか?
・Tensorflow の Object Detection APIを使い、ナンバープレートの領域検出を行いました。
・物体検出アルゴリズムは SSD (Single Shot Detector)、ニューラルネットワークは Inception v2 を使いました。
・文字認識には、CRNN (Convolutional Recurrent Neural Network) を使用。
・ナンバープレート画像の合成をする Pythonスクリプトを作成し、たくさんの教師データを確保することに成功しました。
このライブラリを選んだ理由は、使用するにあたっての信頼度(ポピュラーである)もそうですが、これまで開発で使用してきたノウハウからが理由として大きいです。 ポピュラーな言語はその分アップデートもされますし、トラブルシューティングといったサポートもされますから、開発する段階でその辺の将来性などは考慮して設計に入っています。

これからリリースされるとのことですが、どういった反響が予想されますか?
実は、マーケティング面での市場調査はまだしていないんです。
と言うのも、当初の目的はあくまでも不正駐車の抑制といった観点から立ち上がったプロジェクトになりますので、「売る」という前提ではないからです。。
ただ、「商品化」となった場合の今後の期待としては、沖縄の場合だと観光立県なので、ナンバープレートの「わ」や「れ」(レンタカーと判断するひらがな)だけでも検知できれば、観光客利用の実態調査としての需要があるのではないかと思います。
それ以外だと、当社ではクルマの傷や凹みをAIで検知させるといったプロジェクトが別で動いているんですが、ナンバープレート検知の仕組みと組みあわせることで、撮影した動画をもとにクルマの修理や部品の販売といったマーケティングの情報データとして使うことができたりもします。
いずれにせよ、不正駐車をなくすことで犯罪の抑制になりますし、まずは安全な地域・社会をつくっていくことが最優先になりますので、収益の話はそのあとになりますね。
苦労した点を教えてください
ナンバープレートが傾いたり、斜めから写っていたりすると、検知する精度が下がってしまうということがありました。
既存のライブラリだけでは自動で解決してくれない部分でもあったので、ナンバープレートひとつの中にカテゴリを4つに分けて認識させる(沖縄 530 と XX-XX)ようにしました。使っているツール(Python)は同じなんですが、命令文を書き換えて精度をあげていくといったプログラミングでの試行錯誤がありました。そこは開発者が苦労したところですね。
画像認識に関わらずAI開発は日本語のナレッジが少なく、使われているツールも英語や数字等をサンプルにしたものが多い為、ひらがな・カタカナ・漢字等を認識する開発においては試行錯誤する事が多かったです。
あと、動画に対応するためにはトラッキングと正面化補正の技術開発が必要でした。トラッキングは、動画に写った画像を追跡する技術のことです。正面化補正は、斜めからの解析やナンバープレートの凹みを、まるで正面から撮っているかのように認識し直すことです。止まっているクルマではなく動いているクルマにも対応できるようにトラッキングをし、撮影環境の差異を埋めて検知できるようなものにしました。

今後の展開についてお聞かせください。
まずは開発を終えて、プロトソリューション内への設置ですね。本来の目的を達成させます。
その後はグループ会社、地域の企業へ、という形でサービス展開をしていきたいです。
今回のサービスそのものは基礎的なものと考えていて、この技術を応用し様々なサービスへの転用ができるのではないかと考えています。
ナンバープレート検知システムが、沢山の人のソリューションになれれば嬉しいですね!
インタビュアー:福田 聡樹(ふくだ さとき)
株式会社プロトソリューション Webマーケティング部所属。自社ホームページ編集長。ブログ/インタビュー/動画などのコンテンツを使って、プロトソリューションのサービスやタレント情報を発信しています。
好きなもの:爬虫類全般、本のにおい。
こんにちは。編集部の福田です^^
最近、SDGsについて考える機会が増え、環境問題を扱った記事を読むことが多くなりました。そのせいか、僕のスマホにエコ関連のバナー広告が多く入ってくるように!(完全にターゲティングされている…)
その広告の中で『PIRIKA(ピリカ)』というゴミ拾いのアプリを発見。
「ゴミ拾いでつながるボランティアSNSか…ふむふむ」。 何やら面白そうだったので興味本位でダウンロード。実際に使ってみました!
PIRIKA(ピリカ)とは?

ピリカは世界106ヶ国以上で利用されているゴミ拾いボランティアSNSで、2020年8月現在で拾われたごみの総数はなんと、1億7千165万5640個 !!!
凄い数字です…。

この「PIRIKA」は、ごみ拾いを楽しむソーシャルアプリとなっていて、使い方としては、落ちているごみを撮影し、投稿する。それだけです!
これまで、落ちているごみを拾っても、誰かに感謝されることはありません。
(もちろん感謝されるためにごみを拾うわけではないですが)
しかし、ごみを拾う様子をSNSとして見える化することで、「ありがとう」の声をもらえたり、地域のボランティアグループやイベントに参加するきっかけになったりと、ごみ拾いを通じて気軽に社会貢献ができるわけです!
ちなみに「PIRIKA」という名前の由来について、 アイヌ語で「美しい」「きれい」といった意味があるそう。
ダウンロードしてみた
UIはこんな感じ。

プロフィール画面では、ありがとう総数や、これまで拾ったごみの総数が確認できます。 僕はまだ活動歴が浅いのでもらえてないですが、バッジなんかもあるみたいですね♪
早速使ってみた
地球をきれいにすべく、家の周辺をパトロールしてみました。

早速ごみを発見 。
ゴミを探そうと思って速攻で見つかるなんて、、
コンテンツとして撮れ高はあるけれど、内心は悲しい気持ちです。
数分近所をまわっただけで…

はい。もう袋がいっぱいになってしまいました。
それでは「PIRIKA」へ投稿してみます。

すぐに「ありがとう」やコメントが届きました !!
感謝の言葉をもらえるなど、こうやって共感してもらえるだけで、なんだか誇らしい気持ちになります。
拾ったごみたちです。

・ビン×1
・ペットボトル×2
・カン×3
・ドリンク容器(紙)×2
・お菓子や雑誌の切れはし×数枚 ・タバコの吸い殻×2
近所を歩いただけでこんなに !!?
※このあと、ちゃんとごみの分別をして捨てました。
あとがき
ごみ拾いをすることで、地域がきれいになるし感謝もされる、そして自分が拾ったごみの数量やごみ拾いの活動実績が数値として可視化されるというのは画期的ですね!
ゴミ拾いアプリって楽しい♪
アプリをダウンロードしたその日から、歩く町の景色が変わるかも知れません。
「地域貢献活動に興味があるけど、始めの一歩がなかなか踏み出せない」という方は一度ダウンロードしてみてはいかがでしょうか^^
この記事を書いたひと:福田 聡樹(ふくだ さとき)
株式会社プロトソリューション Webマーケティング部所属。自社ホームページ編集長。ブログ/インタビュー/動画などのコンテンツを使ってプロトソリューションの取り組み、サービスやタレント情報の発信をしています。
好きなもの:爬虫類全般、犬全般、本のにおい。
「品質」の定義やニーズは、お客様によって多岐に渡り、時とともに変化します。
お客様に心から満足していただける高品質なサービスを提供し続けるため、プロトソリューションは様々な取り組みを行っています。
具体的なToDoを進めるために、品質管理活動をどのような考えのもとで推進するのか?
プロトソリューションでは以下の「品質方針」掲げて、その方向性を明確にしています。
品質方針
1.お客様の期待を把握し、満足度向上を目指します。
2.品質向上のための技術を追求します。
3.PS-QMS(当社独自の品質マネジメントシステム)の運用により、品質の評価と改善を継続的に行います。
4.社員全員がこの方針に基づき、品質向上に取り組みます。

もう少し詳しく紹介いたします。

<PS-QMSとは>
プロトソリューション(PROTO Solution)の頭文字「PS」と、品質マネジメントシステム(Quality Management System)という概念の頭文字「QMS」を組み合わせたものです。
■PS-QMS体系図■

当社には約600名規模の社員が在籍していて業種も多岐に渡り、それぞれが独立した体制となっています。
そうなると品質管理活動にムラが出てしまったり共有漏れが発生したりと、品質への意識がどうしても点になってしまいます。
そういった点を線にするために、品質管理委員会が横串しで入ることで改善効果を高め、継続的に取り組み続けれるよう体系化した仕組みが「PS-QMS」です。
品質管理委員会では「PS-QMS」を具体的に実行していくため、下記のように活動のフェーズをPDCAというカテゴリに分け、それぞれのフェーズで様々な取り組みを行っています。
■フェーズごとの取り組みについて■
フェーズ | 取り組み | 期待する効果 |
---|---|---|
Plan(計画) | ・各部署の品質年間計画の立案 | ・課題と目標を明確に定め、年間を通したスケジュールを組んで実行し、推進力向上 |
Do(実行) | ・品質年間計画の実行 ・日々の業務フロー改善、効率化 ・QCMTG、ヒヤリハット報告(リスク早期検知・共有) |
・業務フローの改善・効率化 ・リスク抽出と共有により、早期リスク対策 |
Check(確認) | ・社内:品質データを分析し、各部署へレポーティング ・社外:顧客満足度調査 |
・品質課題の傾向把握し、対策の優先度を決定できる ・お客様ニーズに対する観点でも、品質向上に向けた課題が分かる |
Action(改善) | ・各部署:品質年間計画実施の効果・社内外のデータ分析結果をもとに、再計画 ・組織として:品質管理委員会を開催しPS-QMSのサイクルを定期的に見直し |
・取り組み内容や、仕組み自体も定期的な改善ができる |

品質方針で「社員全員がこの方針に基づき、品質向上に取り組みます。」と掲げているように、全員で取り組むためには連動性は非常に重要です。

<まとめ>
品質管理活動を実践していくためには、まず品質方針を明確にすること。
そして第3機関(品質管理委員会)が品質のPDCAサイクルを回すことで、連携の取れた品質マネジメントを継続的に運用することが可能になります。
組織の規模に左右されない堅実な品質マネジメントシステムを運用していくために。
私たちプロトソリューションは、これからも品質にこだわり続け取り組んで参ります。
今や、オンライン上でクルマを購入することは当たり前になってきているが、私たちを取り巻く環境がDX(デジタルトランスフォーメーション)化されるなかで、様々なビジネスモデルの変革が起きている。
2020年6月19日、クルマ・ポータルサイト「グーネット」は、販売店へ足を運ばずに商談まで済ませられるオンライン商談SaaSの提供を開始した。
今回は、そのオンライン商談ツール「グーネットLive(ライブ)」の開発に携わった棚原氏、友利氏へインタビュー。
サービスが生まれた背景や開発で使用した言語、利用者の声までをご紹介!
棚原 康平 Tanahara Kohei(写真左)
2013年入社。ソリューション開発部沖縄 システムエンジニアとして所属。
不動産情報サイトのWebアプリ開発から、自動車情報系スマホアプリ開発など、主にWebアプリの設計・実装を担う。本記事のプロジェクトでは、ユーザー側のシステム開発を担当。
友利 将 Tomori Sho(写真右)
2013年入社。ソリューション開発部沖縄 プロジェクトマネージャーとして所属。
Webアプリの設計・要件定義、中古車販売管理システムのサポートなど、システム開発からマネジメント業務までを担う。本記事のプロジェクトでは、中古車販売店側のシステム開発を担当。
オンライン商談ツール「グーネットLive(ライブ)」が生まれた背景を教えてください

棚原氏:新型コロナの影響があらゆるオンラインサービスを促進させ、クルマ販売店での接客もオンライン商談という形としてニーズが高まったことから、今回のプロジェクトが発足されました。
友利氏:コロナ禍で生まれた“非接触ニーズ”が今後も加速する事を想定し、クルマ販売店として実店舗での接客以外に、新たな販売ネットワークを作る事が課題としてありました。そこでグーネットにオンライン商談機能を追加することになりました。
オンライン商談機能を追加することでのメリットはどのようなものがありますか?
友利氏:得られるメリットは販売店とユーザー両方にあります。まず、販売店側のメリットは「市場拡大に繋がること」です。
例えば、クルマを実際に見たいといった問い合わせがあった場合、ユーザーが欲しいクルマの条件を来店後にヒアリングするので、思うような提案ができないことがあります。
オンライン商談では、販売店側が欲しい情報を予めユーザーに入力してもらえるので、商談時にはユーザーひとり一人に合わせた提案ができるようになります。 オンライン商談機能を追加することで販売店の業務時間を削減し、顧客接点数を増加させ、商談時間へ置き換えることが可能になったのです。
棚原氏:ユーザー側のメリットはスキマ時間にクルマを探せることです。 また、直接販売店へ行かなくても、クルマをオンライン上で“見に行ける”ので、遠方からのユーザーでも気軽に商談が行えるのが魅力です。

今回使用した技術(開発言語やツールなど)は何ですか?
友利氏:fuelphpとjavascriptです。もともと僕が担当している中古車販売管理システムから、販売店がユーザーの情報を得る際の、UXの部分に機能を追加したという感じですね。
棚原氏:typescriptとReactを使いました。選んだ理由としては、開発期間が短いというのもあったので、1から作るよりもある程度ベースができているものが良いなと。
コロナの影響でオープンソース化されたビデオチャットのプロジェクトがあり、そこで使われていた技術がtypescriptとReactだったので、それをベースにグーネットLIVEの形に変えていった感じです。 Reactは未経験でしたが、「純粋に楽しそうだからやってみよう!」とワクワクしながらやっていたところはあります。(笑)
苦労した点を教えてください。
棚原氏:WebRTC(ブラウザ間でビデオ通話ができるもの)を使った開発が初めてだったので、技術を習得しながら且つコロナ禍のニーズにスピーディーに対応することは思いのほか大変でした。
当時、Zoomの脆弱性問題が話題になっていたこともあり、ビデオチャットを利用することでのセキュリティー面、ビデオ通話に入るための認証フローなどを専門アドバイザーの方と熟考しました。多くの販売店やユーザーが利用するので、そこは何度もテストしましたね。
友利氏:販売管理システム側では、「何を見せるのが良いのか?」を考えるのに苦労しました。
例えば、オンライン商談時の受け付けで情報を入力する際に、販売店側はどういった情報が欲しいのか?ユーザーの名前や住所以外に、好みの車種、年式にこだわりがあるのか?走行距離を気にしているのか?金額感は?など。商談がスムーズに運ぶように工夫しました。
遠方からも使えるものだからこそ、やりとりで距離を感じさせないよう使いやすさなどの設計面には気を使いましたね。

6/19にリリースされましたが、現状の反応はいかがでしょうか。
棚原氏:リリース後すぐにオンライン商談での成約がありました。
県外在住のユーザーで、コロナ禍での外出を避けたい反面、どうしても現車確認をしたいということでグーネットLiveで商談。その場で成約に繋がったようです。
販売店も「これまで相当な販売損失があったのではないか」と、これからも積極的にオンライン商談を取り入れたいと反響がありました。
リリース後すぐに好反応を頂いていますね!今後のサービス展開についてお聞かせください。
棚原氏:UI/UXの改善ですね。商談内容を議事録化する機能や、販売店の在庫を通話中にユーザーへ見せる機能、電子サイン・契約までワンストップで行うといった商談に特化した機能の追加をして、もっと使いやすくしていきたいと考えています。
友利氏:商談車輌連携、見積書連携など、オンライン商談で成約する為に必要な機能を管理システムから提供できるようにしたいですね。

あとがき
人々の接触機会が減ることでニーズが高まるサービスには、当然ながら「利便性」や「安心」といった部分は無視できない。
非接触・非対面だからこそ、より身近に感じてもらえるようなサービスを提供していく。
棚原氏、友利氏による、同サービスのアップデートを今後も見逃せない。
インタビュアー:福田 聡樹(ふくだ さとき)
株式会社プロトソリューション Webマーケティング部所属。自社ホームページ編集長。ブログ/インタビュー/動画などのコンテンツを使って、プロトソリューションのサービスやタレント情報を発信しています。
好きなもの:爬虫類全般、本のにおい。
昨年度のコイバナ活動実績
沖縄県内の幼稚園生、小学生、中学生、高校生の皆さんに、IT の楽しさを伝えている「コイバナプロジェクト」。
昨年度は、回数にして18回。会社見学はもちろん、学校や自治体での講話・IT体験などで、延べ740名の生徒の皆さんにお会いすることができました。
「ITって面白そう!」「仕事って大変なだけだと思ってたけど、そうじゃなかった!」など、想像以上に、生徒の皆さんの気づきが多く、深く・・。私たちにとって、充実した1年でした。
ナレッジが増えて、さぁ!次のステップへ!と考えていたところに。新型コロナで休校。。学校が始まっても子供たちに会えない。。
一気にプロジェクトの存続危機へと・・
会社見学なのにリモート?
早速、プロジェクトメンバーで開いたオンラインMTG。学校の先生や宜野湾市の職員から伺った状況やご意見を参考に、アイディア出しを開始。
with コロナ で何ができるのか。やるなら、プロジェクトのマインド「楽しい!面白い!」をキーワードに考えようと。
そこで思いついたのが、「リモートで会社見学」。
見学なのに、リモート??これまでの常識をひっくり返す発想が生まれました。ニューノーマル時代が、コイバナプロジェクトにも到来!
学生や地域の皆さんがいつでも「IT体験ができる」コンテンツを創ろう!
社員にインタビューしながら、社内の様子を録画して ITや仕事の楽しさをお伝えできるかも。ロボホンにもインタビュー?などなど。現在、企画を立てています!
リモート×会社見学 のほかにも、リモート×IT体験、リモート×職業人講話 など。これまで活動内容をベースに、コンテンツを創っていく予定です。
また、地域の自治体や教育関係者の皆さまとコラボレーション企画を通じて、パートナーシップを活性化させていければと考えています!
ニューノーマル時代。ITの技術はより社会に必要とされています!
だからそこ、子供たち、地域の皆さんにITの楽しさを知ってもらいたい!と思っています。
コイバナプロジェクトは今後も地域へ貢献できるよう、取り組んでいきます!
コイバナプロジェクト:小嶺 節子(こみね せつこ)
周知のとおり新型コロナウイルスの流行に伴い、働き方を大きく見直すことになった企業も多いのではないでしょうか。
私たちはこれからニューノーマル時代を生きていくことになるといわれています。
環境・通信・働き方やUXが変わり、自動化・AI導入が進み、これまでとは違うサービス品質が求められます。
そんなニューノーマル時代の品質管理に、重要な観点は何か改めて考えてみました。
「ヒューマンエラー」がさらに重要になっていく。
様々なサービスがオンライン化し、今後さらにデジタルにシフトする動きが加速していくことが予想されます。
そんな中でもどこかでヒトがサービスに関わり続ける限りヒューマンエラーは無くならないでしょう。
完璧なヒトなどいないからです。
一方で、ヒトが考え続けるからこそ新しいサービスが生まれます。
だからこそ、伴って変化するヒューマンエラー内容に目を向け、改善し続けることが今後より重要だと考えます。
■■ヒューマンエラーとは?■■
人間が起因で起こるミスのことを指します。
「人為ミス」とも言うこともあり、故意にミスを起こそうとしたわけでないが結果的にミスに繋がってしまった行動自体を指すこともあります。
Q1:
ルーティン作業を自動化するとヒューマンエラー抑制にとても効果が期待できると思います。
一方で、想定外のこと・期待以上のことはできません。
ヒトがヒトのために新たなサービスを作ったり、「決まった作業+α(想定外のこと)」を考えるからこそ、感動が生まれるのではないでしょうか。
ですから、全て自動化することが理想なのではなく、ルーティーン作業は自動化し、自動化できない作業ではヒューマンエラーが起こりにくい仕組み作りへ改善し続けることが重要です。
ヒューマンエラーが起きにくい仕組み作りとは、些細に見えるミスに対しても「なぜか?」を考え、しっかり対策をすること。
その日々のヒューマンエラーに対する改善の積み重ねが、大きな事故を防ぐことに繋がっている。
そのような考えのもと、プロトソリューションでは下記の取り組みを行っています。
■■取り組み内容(事例)■■
【取り組み1】インシデントレポート(※)で、ヒューマンエラーの項目を設け根本原因を考えやすくする。
※日々のヒヤリハット情報を集め、品質事故を未然防止するための活動。
ヒューマンエラーは大きく「認知」「判断」「行動」の3つに分類されます。
それらをカテゴリ化して、報告者自身がヒヤリハットを報告しながら「どうしてヒューマンエラーに繋がってしまったのか」を考えやすくしています。
<工夫している点>
・報告の際、どのカテゴリか判断しやすいよう「ミスの内容によって、どのカテゴリを選択して考えればよいか」も明示しています。
・「認知」という文言だけでは、「知識・理解不足だった」ことと「理解内容は正しかったが捉え方に問題があった」という掘り下げが難しいため、2つに分けています。
①(認知)知識・理解不足
┗対象に対する知識が不足や、対象を十分に理解していないため見落とした場合。
②(認知)誤認識
┗業務内容を適切に理解しており、後から見れば正確に判断できたが、違うものと捉えたり、見落としてしまった場合。
③(判断)判断ミス
┗業務内容を適切に認識していたにも関わらず、判断を誤ってしまった場合。
④(行動)スリップ
┗認知・判断が正しくても誤った行動をとってしまい、ミスが生じた場合。
<取り組み1の効果>
それまでは「ミス」という大雑把な捉え方だった事象を、認知・判断・行動など細分化することによって、ヒューマンエラーが発生した時の自身の状態や原因を客観的に振りかえることができるようになりました。
Q2:
当事者のその瞬間は「認識を間違おう」「判断ミスをしよう」としてミスをしたのではなく、「正しい処理をしようとしたが、結果的にミスになった」ものだからです。
だからこそ、その結果と状況から複合的に原因を考える必要があります。
Q3:
この手順は特に気を付けましょう!と注意喚起をしていますが、なかなか減りません。
どうしたらよいでしょうか。
ミスが多い手順⇒誤解が生じやすい手順⇒そもそもヒューマンエラーを引き起こしやすい手順
という状況である可能性があります。
ヒューマンエラーは「結果」なので、ヒトの意識だけで解決しようとするのではなく、そもそもヒューマンエラー(認知・判断・行動のエラー)が起きにくい環境、状況、手順に改善できないか見直すことも必要です。
注意喚起だけではなく、下記を参考に手順の見直しを行ってはどうでしょうか。
<改善の順番は①無くす②減らす③変えるが基本!>
①そもそもその手順は必要か。無くせないか?
②手順自体を減らせないか?
③手順の実施順や方法を変えられないか?
見直後は、チェックシート等へ明文化するとより効果的です。
【取り組み2】品質事故報告書でもヒューマンエラーの要因を項目化し、対策に生かす。
再発防止の観点で品質を考える際にもヒューマンエラーを可視化する方法として「SHELL分析」を用い、要因を考えます。
要因と原因からより効果的な再発防止策を考えられるようにしています。
S : ソフトウェア(Software):ルールや管理状況等
H : ハードウェア(Hardware):ツールや使用機器の状態等
E : 環境(Environment):作業時の環境、体制等
L : 関係者(Liveware):作業した人について(スキル、状況等)
<取り組み2の効果>
「SHELL分析」でミス発生の状況を項目化することで、起きた要因の把握が単なるテキストの羅列よりも容易になりました。
立案した再発防止対策で、要因がもう二度と起こらないようにできているか?等、より効果的な対策を考え、協議できるようになっています。
■■まとめ■■
ニューノーマル時代、ヒューマンエラーに注目し改善し続けることが重要です。
プロトソリューションはこれからもヒューマンエラーへの取り組みを推進し、プラスアルファの感動を生むサービスを提供してまいります。
品質管理委員会