1月20日(土)、CODE BASEにおいて「デザイン賞5冠」を達成したデザイナーである田子學(たごまなぶ)氏をお招きしまして「今、沖縄に求められるデザインマネジメント。」というテーマで講演会を行って頂きました。
当日は社会人・学生合わせて50人以上の参加者にお越し頂き、多くの方々が田子氏のデザインマネジメント論を拝聴しようと足を運ばれていました。
まず、なぜ今「デザイン」が日本において重要視されているのかを、田子氏の経歴を踏まえつつお聞きしました。ビジネスにおいていち早くデザインを取り込んだのは、ビジネス大国であるアメリカ合衆国ですが日本でデザインが注目されるようになったのは最近のこと。大企業が台頭している中、時代に合ったビジネスを展開するには、大きな企業のレガシー・ノウハウを多方面かつ素早く活用する体勢が重要となってきています。
そこで「デザインマネジメント」という考え方が提唱されました。デザインマネジメントは「一気通貫管理」という概念であり、これまでの経営において企画開発・商品開発・販売戦略というロールモデルをデザイン(プロダクト・グラフィック)で括り、コンセンサスが取れやすいマネジメントに転換するというものです。
デザインはアートではなく、設計という意味においてエンジニアと同一であり、人間の行為をより良い形で叶えるための「創造的計画」だと田子氏は仰っています。
歴史がない中でどのように商品を売り出していくかがデザインに託され、ビジネスのキーとなっている時代です。
大昔からヒトは生活の為に、売買という手段を取ってきました。現在でもそれに変化はありませんが、購買者の「価値基準」「購買基準」は変化していルナかで、「現代人はモノのストーリー、魅力を潜在的に探している」と田子氏は仰っていました。さらに田子氏はマネジメントのスパイスには「デザイン」ともう1つ、「ブランド戦略」があると語ります。
田子氏のプロデュース実績としてはじめに挙がったのがプリセットリモコンやガラケーでおなじみのamadanaです。当時のamadanaは、突出したブランド力ではなく、デザイナーのディレクション能力をプロダクトに活かすことにより、デザインが事業選択と可能性を生み、価値を創造させる運動であるということをプロダクトで証明なされていました。
また、田子氏が手がけたのは「商品」だけではありません。天橋立で有名な京都府与謝野町のブランディングについてもお話頂きました。もともと養蚕で栄えた与謝野町、近年は養蚕をほとんど行っていない状態でしたが、2014年に若い町長が誕生したのをきっかけに、与謝野町のまちおこしにおいて注目したのが田子氏のディレクション、ブランディングでした。
もともと与謝野町の養蚕業というストーリー性に加え、「京都」にはあまりイメージの無かった「海」を活かしてブランディングに取り込んだのです。
インバウンドや旅行客などの外の目線から1つの対象を捉えることで、昔あったものづくりの知識を活かし、現代に合わせたブランディングに転換させる、デザインの本質である可能性もご説明頂きました。
最後に、田子氏が現在ブランディングを行なっている、食器とワイナリーハウスのご紹介も頂きました。その2つの事例に共通して言えることは、過去までのブランディングにとらわれず、外からの目線でプロダクトを捉え、知識をどう活用するかということです。
今回の講演において、田子氏の述べるデザインマネジメントが今後日本において、沖縄において、大きな役割を果たすことができるという可能性を可能性を感じた貴重な機会となりました。
本イベントの参加者の声としては、 「社会におけるデザインマネジメントの大切さとこれからの時代でより欠かせないものであることを田子さんの活動を通してわかりやすく理解することができた。また、その構築の仕方などもとても勉強になった。」「概念の話はとても理解しやすかったが、沖縄の学生達がどこまでノウハウを応用できるか、タイトルにある”沖縄”に求められるデザインマネージメントが何か?がそれぞれの自己解釈に委ねられた印象がある。沖縄だからこそできる事の方向性だけでも触れられていたらデザインマネージメントとは何かが理解しやすいと感じたため。」
というお声も頂きました。
沖縄の今後におけるデザインマネジメントを、今回のイベントをきっかけに考える良い機会となったのではないでしょうか。
CODE BASEではこのような講演会・トークイベントをこれからも行っていく予定です! 次回開催のイベントにおいても、皆様のご参加をお待ちしております!