今回は、画像認識AIを用いて、地域・社会の安全を改善するプロジェクトを推進している平良氏、関内氏へインタビュー。

2019年にAI戦略推進室を立ち上げ、AI技術を駆使した社内業務の改善と新規事業立案を繰り返してきた彼らの活動に迫ります。

ナンバープレート検知の開発秘話から今後の展望までをご紹介!

平良 武敏 Taketoshi Taira
2012年入社。AI戦略推進室に所属。
既存業務のAI化・システム化の企画・提案、AIを活用した新規事業立案を担う。
画像認識AIの導入にて車両動画の完全自動化、自然言語処理AIの活用にてコンバート業務の自動化、画像認識AIナンバープレート検知システムを推進。

関内 孝行 Takayuki Sekiuchi
2006年入社。技術推進部門に所属。
情報セキュリティスペシャリスト資格を保有し、新技術や新規サービスの開発を行う。 画像認識系の機械学習(AI)を使ったシステムや、オンライン商談のシステム開発を担当。現在、画像認識AIナンバープレート検知システムを開発中。

「ナンバープレート検知」システムを作るきっかけとなったのは?

当社及び付近の施設で発生している不正駐車や迷惑行為(騒音等)といった、犯罪の抑制がきっかけになります。

通常の監視カメラの導入を検討しておりましたが、誰かが映像を見直さない限り検知することが出来ないという課題にぶつかりました。また、映像のコマが粗く、解析に時間がかかるという欠点もあったんです。

そんなとき、車両ナンバープレートを検知する製品が世の中にある事を知り、まずは既製品の導入を検討しました。ただ、当社の自社メディアサービスは、クルマに関する企業とのコネクションもありますし、高度な画像認識技術を有するエンジニアも属しています。独自で開発することで、既製品とは違う市場・販売経路での展開が可能ではないかと考えました。

また、宜野湾地域の大型商業施設やアミューズメント施設でも、不正駐車の課題を抱えているという声があり、我々の技術を使って地域へ貢献できるのではないか?ということから、自社での開発を進める運びとなったんです。

オンラインインタビューを受けて頂いた平良氏

どういったケースで利用を考えていますか?

不正駐車や犯罪抑制が目的ですので、ショッピングセンターといった大型の駐車場を保有している施設であれば、どこでも活用することができます。あとは、小さなお子さまが通う保育園や学校などに設置することで、不審者の事前察知も可能になるかと思います。

まだフィジビリの段階ですが「まずはやってみよう!」という感じですね。

今回使用した技術(開発言語やツールなど)は何ですか?

・Tensorflow の Object Detection APIを使い、ナンバープレートの領域検出を行いました。

・物体検出アルゴリズムは SSD (Single Shot Detector)、ニューラルネットワークは Inception v2 を使いました。

・文字認識には、CRNN (Convolutional Recurrent Neural Network) を使用。

・ナンバープレート画像の合成をする Pythonスクリプトを作成し、たくさんの教師データを確保することに成功しました。

このライブラリを選んだ理由は、使用するにあたっての信頼度(ポピュラーである)もそうですが、これまで開発で使用してきたノウハウからが理由として大きいです。 ポピュラーな言語はその分アップデートもされますし、トラブルシューティングといったサポートもされますから、開発する段階でその辺の将来性などは考慮して設計に入っています。

開発を担当した関内氏

これからリリースされるとのことですが、どういった反響が予想されますか?

実は、マーケティング面での市場調査はまだしていないんです。

と言うのも、当初の目的はあくまでも不正駐車の抑制といった観点から立ち上がったプロジェクトになりますので、「売る」という前提ではないからです。。

ただ、「商品化」となった場合の今後の期待としては、沖縄の場合だと観光立県なので、ナンバープレートの「わ」や「れ」(レンタカーと判断するひらがな)だけでも検知できれば、観光客利用の実態調査としての需要があるのではないかと思います。

それ以外だと、当社ではクルマの傷や凹みをAIで検知させるといったプロジェクトが別で動いているんですが、ナンバープレート検知の仕組みと組みあわせることで、撮影した動画をもとにクルマの修理や部品の販売といったマーケティングの情報データとして使うことができたりもします。

いずれにせよ、不正駐車をなくすことで犯罪の抑制になりますし、まずは安全な地域・社会をつくっていくことが最優先になりますので、収益の話はそのあとになりますね。

苦労した点を教えてください

ナンバープレートが傾いたり、斜めから写っていたりすると、検知する精度が下がってしまうということがありました。

既存のライブラリだけでは自動で解決してくれない部分でもあったので、ナンバープレートひとつの中にカテゴリを4つに分けて認識させる(沖縄 530 と XX-XX)ようにしました。使っているツール(Python)は同じなんですが、命令文を書き換えて精度をあげていくといったプログラミングでの試行錯誤がありました。そこは開発者が苦労したところですね。

画像認識に関わらずAI開発は日本語のナレッジが少なく、使われているツールも英語や数字等をサンプルにしたものが多い為、ひらがな・カタカナ・漢字等を認識する開発においては試行錯誤する事が多かったです。

あと、動画に対応するためにはトラッキングと正面化補正の技術開発が必要でした。トラッキングは、動画に写った画像を追跡する技術のことです。正面化補正は、斜めからの解析やナンバープレートの凹みを、まるで正面から撮っているかのように認識し直すことです。止まっているクルマではなく動いているクルマにも対応できるようにトラッキングをし、撮影環境の差異を埋めて検知できるようなものにしました。

今後の展開についてお聞かせください。

まずは開発を終えて、プロトソリューション内への設置ですね。本来の目的を達成させます。

その後はグループ会社、地域の企業へ、という形でサービス展開をしていきたいです。

今回のサービスそのものは基礎的なものと考えていて、この技術を応用し様々なサービスへの転用ができるのではないかと考えています。

ナンバープレート検知システムが、沢山の人のソリューションになれれば嬉しいですね!

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インタビュアー:福田 聡樹(ふくだ さとき)

株式会社プロトソリューション Webマーケティング部所属。自社ホームページ編集長。ブログ/インタビュー/動画などのコンテンツを使って、プロトソリューションのサービスやタレント情報を発信しています。
好きなもの:爬虫類全般、本のにおい。

今や、オンライン上でクルマを購入することは当たり前になってきているが、私たちを取り巻く環境がDX(デジタルトランスフォーメーション)化されるなかで、様々なビジネスモデルの変革が起きている。

2020年6月19日、クルマ・ポータルサイト「グーネット」は、販売店へ足を運ばずに商談まで済ませられるオンライン商談SaaSの提供を開始した。

今回は、そのオンライン商談ツール「グーネットLive(ライブ)」の開発に携わった棚原氏、友利氏へインタビュー。

サービスが生まれた背景や開発で使用した言語、利用者の声までをご紹介!

棚原 康平 Tanahara Kohei(写真左)
2013年入社。ソリューション開発部沖縄 システムエンジニアとして所属。
不動産情報サイトのWebアプリ開発から、自動車情報系スマホアプリ開発など、主にWebアプリの設計・実装を担う。本記事のプロジェクトでは、ユーザー側のシステム開発を担当。

友利 将 Tomori Sho(写真右)
2013年入社。ソリューション開発部沖縄 プロジェクトマネージャーとして所属。
Webアプリの設計・要件定義、中古車販売管理システムのサポートなど、システム開発からマネジメント業務までを担う。本記事のプロジェクトでは、中古車販売店側のシステム開発を担当。

オンライン商談ツール「グーネットLive(ライブ)」が生まれた背景を教えてください

オンラインインタビューの様子

棚原氏:新型コロナの影響があらゆるオンラインサービスを促進させ、クルマ販売店での接客もオンライン商談という形としてニーズが高まったことから、今回のプロジェクトが発足されました。

友利氏:コロナ禍で生まれた“非接触ニーズ”が今後も加速する事を想定し、クルマ販売店として実店舗での接客以外に、新たな販売ネットワークを作る事が課題としてありました。そこでグーネットにオンライン商談機能を追加することになりました。

オンライン商談機能を追加することでのメリットはどのようなものがありますか?

友利氏:得られるメリットは販売店とユーザー両方にあります。まず、販売店側のメリットは「市場拡大に繋がること」です。

例えば、クルマを実際に見たいといった問い合わせがあった場合、ユーザーが欲しいクルマの条件を来店後にヒアリングするので、思うような提案ができないことがあります。

オンライン商談では、販売店側が欲しい情報を予めユーザーに入力してもらえるので、商談時にはユーザーひとり一人に合わせた提案ができるようになります。 オンライン商談機能を追加することで販売店の業務時間を削減し、顧客接点数を増加させ、商談時間へ置き換えることが可能になったのです。

棚原氏:ユーザー側のメリットはスキマ時間にクルマを探せることです。 また、直接販売店へ行かなくても、クルマをオンライン上で“見に行ける”ので、遠方からのユーザーでも気軽に商談が行えるのが魅力です。

今回使用した技術(開発言語やツールなど)は何ですか?

友利氏:fuelphpとjavascriptです。もともと僕が担当している中古車販売管理システムから、販売店がユーザーの情報を得る際の、UXの部分に機能を追加したという感じですね。

棚原氏:typescriptとReactを使いました。選んだ理由としては、開発期間が短いというのもあったので、1から作るよりもある程度ベースができているものが良いなと。

コロナの影響でオープンソース化されたビデオチャットのプロジェクトがあり、そこで使われていた技術がtypescriptとReactだったので、それをベースにグーネットLIVEの形に変えていった感じです。 Reactは未経験でしたが、「純粋に楽しそうだからやってみよう!」とワクワクしながらやっていたところはあります。(笑)

苦労した点を教えてください。

棚原氏:WebRTC(ブラウザ間でビデオ通話ができるもの)を使った開発が初めてだったので、技術を習得しながら且つコロナ禍のニーズにスピーディーに対応することは思いのほか大変でした。

当時、Zoomの脆弱性問題が話題になっていたこともあり、ビデオチャットを利用することでのセキュリティー面、ビデオ通話に入るための認証フローなどを専門アドバイザーの方と熟考しました。多くの販売店やユーザーが利用するので、そこは何度もテストしましたね。

友利氏:販売管理システム側では、「何を見せるのが良いのか?」を考えるのに苦労しました。

例えば、オンライン商談時の受け付けで情報を入力する際に、販売店側はどういった情報が欲しいのか?ユーザーの名前や住所以外に、好みの車種、年式にこだわりがあるのか?走行距離を気にしているのか?金額感は?など。商談がスムーズに運ぶように工夫しました。

遠方からも使えるものだからこそ、やりとりで距離を感じさせないよう使いやすさなどの設計面には気を使いましたね。

6/19にリリースされましたが、現状の反応はいかがでしょうか。

棚原氏:リリース後すぐにオンライン商談での成約がありました。

県外在住のユーザーで、コロナ禍での外出を避けたい反面、どうしても現車確認をしたいということでグーネットLiveで商談。その場で成約に繋がったようです。

販売店も「これまで相当な販売損失があったのではないか」と、これからも積極的にオンライン商談を取り入れたいと反響がありました。

リリース後すぐに好反応を頂いていますね!今後のサービス展開についてお聞かせください。

棚原氏:UI/UXの改善ですね。商談内容を議事録化する機能や、販売店の在庫を通話中にユーザーへ見せる機能、電子サイン・契約までワンストップで行うといった商談に特化した機能の追加をして、もっと使いやすくしていきたいと考えています。

友利氏:商談車輌連携、見積書連携など、オンライン商談で成約する為に必要な機能を管理システムから提供できるようにしたいですね。

あとがき

人々の接触機会が減ることでニーズが高まるサービスには、当然ながら「利便性」や「安心」といった部分は無視できない。

非接触・非対面だからこそ、より身近に感じてもらえるようなサービスを提供していく。

棚原氏、友利氏による、同サービスのアップデートを今後も見逃せない。

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インタビュアー:福田 聡樹(ふくだ さとき)

株式会社プロトソリューション Webマーケティング部所属。自社ホームページ編集長。ブログ/インタビュー/動画などのコンテンツを使って、プロトソリューションのサービスやタレント情報を発信しています。
好きなもの:爬虫類全般、本のにおい。

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