こんにちは。プロトソリューションの福田です。
2022年全国の完全失業者数は179万人。前年に比べ16万人の減少となっていますが、若年層(15〜29歳)の完全失業率をみてみると全国3.4%に対し、沖縄は7.2%と全国に比べ3.8%高い結果が出ています。
(出典:「労働力調査」/全国:総務省統計局、沖縄県:沖縄県企画部)
その要因としては「雇用の場の不足」「求人のミスマッチ」「若年者の雇用環境の厳しさ」の3つが目立ち、特に「若年者の雇用環境の厳しさ」を深掘りすると、雇用に至るまでの若年者の基礎学力やITスキル不足といったところが深刻な課題となっています。
そういった課題に対して主体的にアクションを起こせないか?という思いから、当社プロトソリューションでは6年前にコイバナという社内プロジェクトが立ち上がりました。今回はそのコイバナの委員長である眞境名さんにインタビュー。
コイバナの取り組み内容と成果、そして今後の豊富について語って頂きました。
眞境名 恵(まじきな けい)
2008年入社。中古車情報誌グー誌面制作を経て、デザイン部のマネージャーとして16名規模のチームを管理。部署人事を兼任する。
2022年にコイバナプロジェクト委員長へ就任。
Q:コイバナの活動目的を教えてください
コイバナは、沖縄の小・中・高校生の皆さんにITの楽しさを伝えるプロジェクトです。沖縄の未来を担う子どもたちがITに興味を持つことで、IT人材輩出のための土壌作りを目的としています。
Q:具体的な活動内容を教えてください
コイバナプロジェクトでは、プロトソリューションとキャリア支援事業、学校の3つの企業・機関が連携して、子どもたちへキャリア支援を行っています。
学校の選定は、キャリア形成支援事業を得意とするパートナー企業様にて行っていて、沖縄県本島・離島の小中高をメインにご紹介頂いています。
ITの楽しさを伝えるといっても、地域や学校によって要望が異なりますので都度内容は変わります。コイバナメンバーが実際に学校へ出向いたり、学生さんたちを当社に呼んだりする場合もあります。
具体的な活動としては、Webサイトの一部分を子どもたちと一緒に作る『プログラミング体験学習』、学生さんたちを招いて業務フロアの見学や、働く社員のプレゼンテーションを実施する『企業見学バスツアー』、地域の異業種の方々と協力し、フラワーアレンジメントやFMラジオ局、薬剤師、建築士、警察の鑑識 などといった職業から、子どもたちが興味のある分野を選んで体験するといった『職業体験型イベント』まで、バラエティ豊富な企画を実施しています。
Q:幅広く活動されていますが、ITの楽しさについて伝え方の工夫はどうされていますか?
例えばプログラミングを教えるにしても、いきなり裏側のコード画面を見せてしまうと「うわ、、こんなのできない!」という声が聞こえてきたりするので、小学校低学年が対象なら、初めにロボットを登場させて子どもたちがワクワクするようなつかみを入れたり、ゲームなどの体験コーナーを設けて雰囲気作りをしたりなど、学年に合わせてやり方は変えたりしています。どのイベントでも「ITって、難しそう」といった苦手意識を持たれないことを第一に企画しているので、コイバナメンバーも必死なんですよ!
Q:今の子どもたち(α世代※)でもITに対して苦手意識はあるんですか?
あります。コイバナの活動で何校か伺わせて頂いていますが、ほとんどの子どもたちがそうですよ(笑)。
スマホやタブレットを使って動画コンテンツを見る(オモテ側)ことは問題なく出来るんですが、プログラミング(ウラ側)に関しては未知の世界なので、そこは私たち大人と変わりません。
ゲームや音楽・動画視聴と言った娯楽としては扱えるけれども、それ以外の機能は使うことがないのでそこも大人と変わらないですよね。
実際、コロナ禍で学校訪問や会社見学ができない時期はWebイベントを開催したこともあるのですが、オンラインでお互いのデバイスを繋ぐ際に、子どもたちの方で「meetの繋ぎ方が分からない!」なんてことも普通にありましたし(笑)。
一方で、1クラスに1〜2人くらいの割合でプログラミング教室に通っている子もいたりします。その割合として、地方・都市といった違いはあまり感じないですね。
※α世代とは
α世代(アルファせだい)[2]、ジェネレーションα(英: Generation Alpha)は、アメリカ合衆国や英語圏などにおいて概ね2010年代から2020年代中盤(もしくは終盤)にかけて生まれる世代とされるが、2020年代前半時点で定義は厳密には定まっておらず流動的である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Q:眞境名さんご自身もお子さんがいらっしゃるそうですが、IT教育はされていますか?
特にITだからという意識はないですね。大人になっていく上で、社会に出たら必要なことは、元気でいること、大きな声で挨拶ができること、常に勉強し続けること、周りの人を大切にすること。といった人間性が大事だよという話はしています。
IT面でいうと、私が家で作業をしている姿を幼い頃から見ていたので、あまりIT分野に抵抗はないのかもしれません。私自身、今はデザイン部署のマネージャー兼人事を担当していますが、もともとデザイン分野が得意でAdobeソフト(フォトショやイラレ)を子どもに触らせようと思っていた時期もありました。ただ、本人はプログラミングに興味があるみたいで、学校のクラブ活動でもプログラミングをやっていて、授業が終わると放課後のクラブで学習しては、帰宅後に再び自宅PCでコードを書くみたいなことをやっています。(友達もプログラミング教室に通っていて、簡単なゲームを作って遊んだりするみたいです)。
過去に当社の企画で『ファミリーDAY』というイベントに子どもを参加させてみたんですが、プログラミングに興味を持ったのはそれが始まりかも知れないです。
将来はプロトソリューションに入社したいと言っているんですよ!
Q:コイバナ活動の反応はありましたか?
コイバナのイベント後に、体験を終えた生徒さんから感想をいただくことがあります。
「初めて触ってみたけど楽しかった!」「将来はプログラマーになりたい!」など、子どもたちの声が聞けた時はとても嬉しいですね。私たちの活動で子どもたちの将来のきっかけ作りができたという感じがします。
また、学校の先生方から「次回もきてほしい!」と声を頂くこともありますし、学校をまたいで依頼がくることもあります。
当社のホームページでコイバナの取り組みを掲載すると、企業見学をされている企業さんから声をかけて頂くこともあったり、パートナー企業様からも「今後は児童養護施設にも活動を広げていきましょう!」とオファーを頂けているので、活動の成果が出ているとともに、活動範囲も広がってきていると実感しています。
コイバナはあくまでもITに興味を持ってもらうためのきっかけ作りであるため、子どもたちが将来IT企業に進んだのかは今すぐ数値として出せないですが、こういった声を頂けていることは活動を推進している私たちとしては非常に有り難く、地域との繋がりが生まれているのを強く感じます。
私は採用人事も担当しているので、いつかは「昔、コイバナで話を聞いてエントリーに来ました!」と言ってくれる学生さんに会えたらいいな♪って密かに思っています!
Q:やりがいを教えてください
コイバナがスタートしてから6年経ちますが、実は私が委員長になったのはここ1年くらいなんです。コイバナの活動内容も把握していなかったので、まずは活動をしていくために前メンバーへのヒアリングから始めて、コイバナの過去の取り組みを記事で調べて読んだりして進めていました。委員長を含めたメンバーが総入れ替えだったのでかなり大変だったんです(笑)。
ですが実際に子どもたちと接してみて、難解なコードの説明をなるべく子どもたちのわかりやすい言葉で伝える方法を考えてみたり、キラキラした目で「すごく楽しかった」「自分でもできるようになった」と聞いた時に「活動をやっていて良かったな」ってやりがいを感じるようになりました。子どもたちにはITの楽しさと一緒に、働き方には色んな選択肢があるのを知ってもらい、感じてもらいたい。今後はそういった部分も伝えながら活動を続けていきたいと思っています。
Q:眞境名さん自身も成長を実感しているように見えます。コイバナを通してご自身に変化はありましたか?
仕事への向き合い方でしょうか。
子どもたちに何かを伝えるということは、一度自分の中でそれについて振り返る作業が必要ですよね。
「自分はちゃんとした大人になれているのか?」「ITを伝える人間として私にどれだけの知識があるのか?」など思い返す機会にもなります。また、子どもたちと対話することで伝わらないことをどうやったら伝わりやすくなるか?ということを考えながらアウトプットを積み重ねていくうちに、いつの間にか出来なかったことが出来るようになっている。それでも私が不得意なところはコイバナのメンバーが補ってくれてたり、逆に私が出来ることは積極的に入っていったりと、普段の業務でも応用できるスキルが身につくので成長は実感しています。
実業務であるマネジメントや人事業務にも繋がっていますよ!
実は、コイバナの活動って色んな意味で「濃い」んです(笑)。
Q:今後の活動を教えてください
コイバナの活動は2020年〜2022年のコロナ禍で、主にリモートでの活動を余儀なくされました。その結果、Webイベントという取り組みへの広がりを見せたものの、やはりワークといった体験学習などは、実際に手に取れる・感じられるなどリアルな体感で伝わることが重要だと思うんです。
今後はそういったライブ感を大事にしながら、子どもたちと関わっていきたいと思っています。
また、喜ばしいことに、現在はいくつかの学校から訪問のお話を頂いています!
ですが、コイバナメンバーが足りず希望の日程にお応えできないことが発生していたりするんです。
活動領域を広げていくためにも、コイバナのメンバーを増やして全社で取り組めるようにしていきたいですね。
まとめ
コイバナの取り組みがスタートして6年。これまでのイベント実施回数は57回、約2500名の子ども達との交流がありました。活動実績だけをみても、沖縄県内でプロトソリューションという社名が認知されていることでしょう。
当社には「生産人口の減少問題をデータとAIで解決することで、地域・社会へ感動を届ける企業を創る」という経営理念がありますが、IT人材の土壌を作るという点では、コイバナの活動もその一端を担っていることになります。
プロトソリューションは、今後も地域の自治体や教育関係者とコラボレーション企画を通して、パートナーシップを活性化させていければと考えています。
この記事を書いたひと:福田 聡樹(ふくだ さとき)
株式会社プロトソリューション Webマーケティング部所属。自社ホームページ編集長。ブログ/インタビュー/動画などのコンテンツを使ってプロトソリューションの取り組み、サービスやタレント情報の発信をしています。
好きなもの:爬虫類全般、犬全般、本のにおい。