社員の健康管理をひと目で把握 体調管理SaaS

REPORT
2020.10.21

「生活していくうえで毎日の健康管理は大事である。」

というのは言わずもがな理解しているだろう。

今年3月に大きく拡大した新型コロナウィルスの影響を受け、人々の健康管理に対する考え方は大きく様変わりし、厚生省が公表している身体的距離の確保3密の回避といった『新しい生活様式』も 今では当たり前のように行われている。

そして、企業における従業員の健康管理にも変化が起きている。

「大きなお世話だ」という声が聞こえてきそうだが、企業にとって“働き手”である従業員は資産であり、その資産の管理をすることは企業にとって当然の義務なのである。

さて今回は、従業員の健康管理を目的とした体調管理システム開発を手掛けた山川氏へインタビュー。

『体調管理SaaS』で出来ることや今後の展望を語ってくれた。

山川 宗大 sota yamakawa
2013年入社。ソリューション開発部 沖縄 System6 DataLineチーム。
プログラマーとして中古車販売システム開発を担当し、2019年には自動車流通のセールスエンジニアとして営業支援に携わる。現在はプロジェクトマネージャーとして従事。開発から企画、プロジェクトの推進と幅広く活躍している。

体調管理システム開発のきっかけを教えてください

元々のきっかけは新型コロナウィルスが始まりでした。

社員の安全確保と更なる感染拡大防止を目的として毎日の体調管理を実施していたんです。

ここで言う体調管理とは、体温、勤務状況(シフト)、体調や症状を言い、出社・休みを含めて毎日報告することになっています。

始めはGoogleフォーム+Googleスプレッドシートで運用していましたが、社員数が多いので、毎日の体調報告をフォームから送っていくうちに、集約される管理表が段々と重くなってきていました。最終的には体調管理表を確認する際のローディングをひたすら待つ、というのがストレスになり非効率になったんです。

そういった背景から、「体調管理をシステム化しよう」ということになりました。 システム化をしてからのデータ管理スピードや見やすさといったUI/UXは各段に上がったと思います。

インタビュアー福田(筆者)

今回使用した技術(開発言語やツールなど)は何ですか?

AWSのECSを使用して構築し、フロント側はReactというライブラリを使っています。
ログイン認証は社員が持っているGoogleアカウントでログインできるように、Cogniteを使用しました。
当社の社員投票制度である「Shine Star(シャインスター)制度」と同じ仕組みだと思います。

苦労した点を教えてください。

一番苦労したのは要件定義ですね。正直最初は軽く見ていました(笑)

当社には子会社やニアショア事業、外部常駐といった拠点で従事している社員がいたり、直接出社をしない営業や在宅勤務といった様々な働き方があるので、思ったよりも管理方法が単純ではなかったです。

例えば、時差出勤した場合のシフトと管理表との連携や、今日は会社出社なのか?在宅なのか?出張なのか?といったロケーションの部分も考慮する必要が出てきました。

体調管理をするということは、単に報告をしてもらうだけではなく、報告が漏れている社員に対しての追いかけをしなくてはなりませんし、発熱といった体調不良者がでたときに、そこから感染疑いのある接触者を洗い出すことも必要になってきますので、誰がどこにいるのか?は非常に重要になってきます。

コロナ禍において、体調管理はスタッフの状況を把握できるようになっていなければならないんです。

社員の経過観察一覧。37.5度以上をフィルタリングし可視化できる


最終的には上がってきた社員のデータを可視化して、各責任者から役員へ報告する流れなので、役員が全社員の状況をすぐに把握できる前提で作っています。

役員報告用のサマリについては、コミュニケーションツールのslackを使って通知が飛ぶようにしています。「可能な限りすべてのフローを自動で」というところを意識しました。未入力者の通知もslackで飛ぶようになっています。

体調管理のシステム化をするにあたり、要件定義の段階では想定していなかったものが、開発段階で追加追加の実装をすることが多かったように思います。

新型コロナウィルスという予測不能の事態に対応していくためには、コロナと並行しながら要件を決めていくといった柔軟な対応も必要ということを改めて痛感しました。

そんななかでも得たものは大きいんですよね?

沢山ありました!

これまで使ったことがないサービスやツールに触れることができたので、凄く勉強になりましたし、何よりも自身の成長に繋がったなと感じています。

もともと自分が担当している業務に活かすといった、知識の横展開ができているので、そういった点では担当して良かったなと思っています。

インタビューを受ける山川氏

体調管理システムですが、今後どういう展開があるのでしょう?

「ストレスチェック」や「働きがいアンケート」「打刻ログ」など、さまざまな情報を組み合わせて、AIに学習させてみる。その結果、データの可視化、気にかけるべき社員の自動抽出など、データを使って効率的且つ合理的に管理できるのではないでしょうか。

今まで、直接顔を合わせていたので、気づくことができたことも、在宅ワークやワーケーションなど、顔を直接合わせる機会が減るとなかなか気づき辛いところもあると思いますので、その課題を解決できればと思います。

残る課題としては、スマホでの体調入力を可能にするUIの実装と、シフト表との連動ですね。
今だと、未入力者へのアラートが表示されますが、実はその方が午後へシフト変更していた場合、「未入力」として判断されるということがあるので。。
最新情報が反映されたシフト表と体調管理システムを連携させていくことで、より精度を上げていきたいですね。

体調管理システムはあくまでも“仕組み”であり、一番はやはり会社の資産である社員の健康を守っていくことだと考えています。

今後は社員へのアンケートをとって要望なども取り入れながらアップデートしていきます!

まとめ

企業側が健康経営を推進していくことは、働く従業員の健康への意識啓発に繋がり、従業員自らがコンディションに配慮することで、従業員の活力や生産性の向上にも貢献できる。

今後は、山川氏の言うように『体調管理SaaS』を、ストレスチェック、働きがいといったメンタル面のデータと組み合わせることで健康管理のバージョンが上がり、健康管理のライフログの新常態として浸透していくかもしれない。

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インタビュアー:福田 聡樹(ふくだ さとき)

株式会社プロトソリューション Webマーケティング部所属。自社ホームページ編集長。ブログ/インタビュー/動画などのコンテンツを使って、プロトソリューションのサービスやタレント情報を発信しています。
好きなもの:爬虫類全般、本のにおい。

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