ニューノーマル時代、品質管理のカギは「ヒューマンエラー」にある。

REPORT
2020.06.26

周知のとおり新型コロナウイルスの流行に伴い、働き方を大きく見直すことになった企業も多いのではないでしょうか。
私たちはこれからニューノーマル時代を生きていくことになるといわれています。

環境・通信・働き方やUXが変わり、自動化・AI導入が進み、これまでとは違うサービス品質が求められます。
そんなニューノーマル時代の品質管理に、重要な観点は何か改めて考えてみました。

 

「ヒューマンエラー」がさらに重要になっていく。

様々なサービスがオンライン化し、今後さらにデジタルにシフトする動きが加速していくことが予想されます。
そんな中でもどこかでヒトがサービスに関わり続ける限りヒューマンエラーは無くならないでしょう。
完璧なヒトなどいないからです。

一方で、ヒトが考え続けるからこそ新しいサービスが生まれます。
だからこそ、伴って変化するヒューマンエラー内容に目を向け、改善し続けることが今後より重要だと考えます。

 

■■ヒューマンエラーとは?■■

人間が起因で起こるミスのことを指します。
「人為ミス」とも言うこともあり、故意にミスを起こそうとしたわけでないが結果的にミスに繋がってしまった行動自体を指すこともあります。

 

Q1:

質問者①
質問者①
極論だと、ヒューマンエラーを無くすために、作業をすべて自動化したほうがいいということですか?

ルーティン作業を自動化するとヒューマンエラー抑制にとても効果が期待できると思います。
一方で、想定外のこと・期待以上のことはできません。
ヒトがヒトのために新たなサービスを作ったり、「決まった作業+α(想定外のこと)」を考えるからこそ、感動が生まれるのではないでしょうか。

ですから、全て自動化することが理想なのではなく、ルーティーン作業は自動化し、自動化できない作業ではヒューマンエラーが起こりにくい仕組み作りへ改善し続けることが重要です。

比嘉(品質管理)
比嘉(品質管理)

 

ヒューマンエラーが起きにくい仕組み作りとは、些細に見えるミスに対しても「なぜか?」を考え、しっかり対策をすること。
その日々のヒューマンエラーに対する改善の積み重ねが、大きな事故を防ぐことに繋がっている。
そのような考えのもと、プロトソリューションでは下記の取り組みを行っています。

 

■■取り組み内容(事例)■■

【取り組み1】インシデントレポート(※)で、ヒューマンエラーの項目を設け根本原因を考えやすくする。


※日々のヒヤリハット情報を集め、品質事故を未然防止するための活動。

ヒューマンエラーは大きく「認知」「判断」「行動」の3つに分類されます。
それらをカテゴリ化して、報告者自身がヒヤリハットを報告しながら「どうしてヒューマンエラーに繋がってしまったのか」を考えやすくしています。

<工夫している点>
・報告の際、どのカテゴリか判断しやすいよう「ミスの内容によって、どのカテゴリを選択して考えればよいか」も明示しています。

・「認知」という文言だけでは、「知識・理解不足だった」ことと「理解内容は正しかったが捉え方に問題があった」という掘り下げが難しいため、2つに分けています。

①(認知)知識・理解不足
┗対象に対する知識が不足や、対象を十分に理解していないため見落とした場合。

②(認知)誤認識
┗業務内容を適切に理解しており、後から見れば正確に判断できたが、違うものと捉えたり、見落としてしまった場合。

③(判断)判断ミス
┗業務内容を適切に認識していたにも関わらず、判断を誤ってしまった場合。

④(行動)スリップ
┗認知・判断が正しくても誤った行動をとってしまい、ミスが生じた場合。
 

<取り組み1の効果>
それまでは「ミス」という大雑把な捉え方だった事象を、認知・判断・行動など細分化することによって、ヒューマンエラーが発生した時の自身の状態や原因を客観的に振りかえることができるようになりました。
 

Q2:

質問者②
質問者②
ヒューマンエラーの分類をカテゴリ化することで、「原因」を考えるとありますが、ヒューマンエラー自体がミスの原因ではないのですか?
ヒューマンエラーは「原因」ではなく、「結果」であると定義します。
当事者のその瞬間は「認識を間違おう」「判断ミスをしよう」としてミスをしたのではなく、「正しい処理をしようとしたが、結果的にミスになった」ものだからです。
だからこそ、その結果と状況から複合的に原因を考える必要があります。
比嘉(品質管理)
比嘉(品質管理)

 

Q3:

質問者③
質問者③
私はチームリーダーなのですが、メンバーの方々がミスしやすい手順があります。
この手順は特に気を付けましょう!と注意喚起をしていますが、なかなか減りません。
どうしたらよいでしょうか。

ミスが多い手順⇒誤解が生じやすい手順⇒そもそもヒューマンエラーを引き起こしやすい手順
という状況である可能性があります。
ヒューマンエラーは「結果」なので、ヒトの意識だけで解決しようとするのではなく、そもそもヒューマンエラー(認知・判断・行動のエラー)が起きにくい環境、状況、手順に改善できないか見直すことも必要です。
注意喚起だけではなく、下記を参考に手順の見直しを行ってはどうでしょうか。

<改善の順番は①無くす②減らす③変えるが基本!>
①そもそもその手順は必要か。無くせないか?
②手順自体を減らせないか?
③手順の実施順や方法を変えられないか?

見直後は、チェックシート等へ明文化するとより効果的です。

比嘉(品質管理)
比嘉(品質管理)
  

【取り組み2】品質事故報告書でもヒューマンエラーの要因を項目化し、対策に生かす。

再発防止の観点で品質を考える際にもヒューマンエラーを可視化する方法として「SHELL分析」を用い、要因を考えます。
要因と原因からより効果的な再発防止策を考えられるようにしています。

S : ソフトウェア(Software):ルールや管理状況等
H : ハードウェア(Hardware):ツールや使用機器の状態等
E : 環境(Environment):作業時の環境、体制等
L : 関係者(Liveware):作業した人について(スキル、状況等)

<取り組み2の効果>
「SHELL分析」でミス発生の状況を項目化することで、起きた要因の把握が単なるテキストの羅列よりも容易になりました。
立案した再発防止対策で、要因がもう二度と起こらないようにできているか?等、より効果的な対策を考え、協議できるようになっています。

 

■■まとめ■■

ニューノーマル時代、ヒューマンエラーに注目し改善し続けることが重要です。
プロトソリューションはこれからもヒューマンエラーへの取り組みを推進し、プラスアルファの感動を生むサービスを提供してまいります。

 

 

品質管理委員会

 

 

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